キャリアカウンセリングは意味がない?
google検索で「キャリアカウンセリング」と入力すると、
検索候補に「キャリアカウンセリング 意味ない」って出てきました。
キャリアカウンセラーの私としては、とても悲しい検索キーワードです。
どうも、この「キャリアカウンセリング 意味ない」には二つの意味があるようです。
①キャリアカウンセリングを受けても解決しない
②キャリアカウンセラーの資格を取得しても職業として稼げない
という意味のようです。
確かに②の職業として稼げないというのは、納得できます。
一般的なお話になりますが、
・資格の取得に30万円くらい
・資格を維持するために5年毎に10万円くらい
・自分が所属する団体の年会費が1万円くらい
結構、お金をかけて資格を取得し、
そして、維持していくにもお金がかかる資格なんです。
その割に、非正規雇用の働き方が多く、給料が安かったりと・・・
現状では、キャリアコンサルタントの社会的地位が確立されていないんです。
すみません。私の愚痴みたいな感じになってしまいましたね。
では、本題に入りますが、上記の①の「キャリアカウンセリングを受けても解決しない?」について、
私の考えを少しだけお話させていただきますので、お付き合いください。
キャリアカウンセラーとキャリアコンサルタント
キャリアカウンセリングはアメリカが発祥とのことです。
日本では2016年にキャリアコンサルタントが国家資格となりました。
あれ?
「キャリアカウンセラー」と「キャリアコンサルタント」は、どう違うのだろう?
って思われたかもしれませんね。
ほぼ同じなのですが、あえて違いを言うならば・・・
◆キャリアコンサルタント
・国家資格
・名称独占(資格取得者だけがその名称を名乗ることができること)
◆キャリアカウンセラー
◆資格名称ではない(誰でも名乗れる)
◆似たようなものにキャリアアドバイザーなどがある
という感じです。
キャリアコンサルタントと名乗るには「国家資格」試験に合格して、
登録しなければならないのです。
参考までに、似たようなものに「業務独占」というものもあります。
業務独占とは、資格を所持していなければその業務を行うことができないことです。
例えば、医師、弁護士、看護師、司法書士などがあります。
「キャリアコンサルタント」は名称独占であるため、国家資格を所持したものでなければ名乗れませんが、
「キャリアカウンセリング(相談)」は業務独占ではないので、誰でもできるということになります。
会社の人事の方や、社会人経験豊富な方などが、自らの立場と経験から
キャリア相談をしていることはありますよね。
またまた、あれ?
「キャリアカウンセリング」と「キャリアコンサルティング」は、どう違うのだろう?
って思われたかもしれませんね。
似たような言葉がたくさん出てきてしまいごめんなさい。
実はこれも、ほぼ同じ意味と考えて良いと思うのですが・・・
キャリアカウンセリングはアメリカが発祥ということをお話しましたが、
アメリカではカウンセリングを受けることは日常的に馴染みのあることのようです。
外国では、カウンセリングへの敷居が低く、精神疾患の治療を目的としたものだけではなく、
心の調子を整えるために受ける人が多くいるようです。
一方で、日本では、カウンセリングが日常的に馴染んでいないという事情があります。
そのため、「カウンセリング」という言葉が心理療法をイメージさせてしまうことを考慮し、
職業キャリアにかかわる相談・指導・助言を表すものとして、
「キャリアコンサルティング」という言葉を採用したという経緯があるようです。
このように、ほぼ同じ意味として
キャリアコンサルティング = キャリアカウンセリング = キャリア相談
キャリアコンサルタント = キャリアカウンセラー = キャリアアドバイザー
と考えて良いのかと思います。
キャリアコンサルティングとは
キャリアコンサルティングとは、
「労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、
助言及び指導を行うこと」と定義されています。(厚生労働省)
この定義を読むと、
「働いている人が仕事の悩みを相談して、アドバイスをもらう相談なのかな?」
と思われる方が多いのではないでしょうか。
そのように解釈しても間違いではないと思うのですが、少しだけ私の考えを補足させてください。
まず、キャリアとは仕事のことだけではなく、人生(生き方)そのものを示している言葉だと思っています。
社会人になるために子供の頃から勉強し、
社会人となり、一日の半分くらいを働く時間に費やしながら、
人生の半分くらいは働いている期間となります。
定年した後は、これまで働いてきた実績や経験などが自負心となり、
働いていなくても疎外感を感じずに老後を過ごしていける・・・
つまり、人生と働くことは一心同体のような関係にあると考えられます。
働くことって、その人のアイデンティティ(自分が自分であると自覚すること)のような
存在なのではないでしょうか。
一見すると仕事の悩みではないような、
「子育て」「介護」「健康」「家庭」「恋愛」「人間関係」「お金」などの悩みも、
実は「働くこと」とつながっていることが少なくありません。
例えば、
・子育て上の問題が、仕事に影響してしまったり
例)子供が熱を出してしまい、仕事を休まなければならなくなった
↕
・仕事上の問題が、子育てに影響してしまったり
例)数日の出張があり、子供の世話を誰かにお願いしなければならなくなった
このように、仕事と生活は双方向的にかかわっているため、
キャリアコンサルティングの範囲は、
仕事のみではなく、人生(生活、生き方)の悩みを含んでいるものと考えられます。
また、キャリアコンサルティングは、
「相談したら解決方法をアドバイスしてくれる相談」と思われるかもしれませんが、
本来はアドバイスするようなものではないと、私は考えています。
悩んでいる相談者を取り巻く環境は、多様で複雑になっています。
それ故、丁寧に状況を確認し、同時に気持ちの整理をつけながら、
解決の糸口を一緒に考えていくことが大切であると思っています。
キャリアコンサルタント自身の人生経験だけを基に、
相談者の悩みに勝手に当てはめ、安易にアドバイスすることは、
あまりにも無責任で、相談者の人生を大切にしていないと、私は感じます。
相談者が、自分らしく生きていくために、
今抱えているこの不安や悩みに対して
相談者自身が「何ができるのか」
を一緒に考えていくプロセス(相談)が、
キャリアコンサルティングだと、私は考えています。
キャリアコンサルタントの属性(種類)
では、どこに行けばキャリアコンサルタントに相談できるのでしょうか?
キャリアコンサルタントが所属して活動している職場は、次のようなものがあります。
(1)需給調整機関
・ハローワーク
・ポリテクセンター
・転職エージェント、人材派遣会社など
(2)就労支援機関(国や地方自治体から委託を受けた就労支援機関など)
・若者サポートステーション
・ジョブカフェ
・生活困窮者支援など
(3)教育機関
・大学等のキャリアセンターなど
(4)企業
・企業の総務・人事部門など
(5)個人
・個人事業主
・フリーランスや副業など
これらのほとんどは、就職支援を主として働いていることが多いようです。
それぞれの所属先(団体・会社)の特性によって、
必然的にキャリアコンサルティングとしての役割も変化してしまいます。
ただし、(4)企業のキャリアコンサルタントについては就職支援ではなく、
キャリア形成、離職防止、採用などの業務に携わることになるでしょう。
ですから、あなたが相談したい内容によって、
どこのキャリアコンサルタントに相談したら良いのかを、
あなたが選んで利用することが大切になるものと思います。
例えば、
「自分の将来のことを考えて不安に感じていて、どうしたらいいのか」などを相談したい場合、
需給調整機関である職業紹介窓口に行ったとして・・・
あまり期待した結果は得られないかもしれません。
「餅は餅屋」というように、
それぞれの役割や専門分野を見極めて利用することが大切なことかと思われます。
担当してくれた方の知識や人間性にもよると思いますが、
勇気を出して相談に行ったのに、かえって嫌な思いをしてしまい、
「もう二度と相談になんか行くものか!」
となってしまっては、元も子もありませんね。
良い方、相性の合う方が担当者にあたるといいですね。
まとめ
キャリアコンサルティングは決して意味がないわけではありません。
そのために、次のことをご理解いただきたいです。
◆価値のあるキャリアコンサルティングにするために必要なこと
①相談の内容によって、キャリアコンサルタントを選びましょう
・どこに所属しているキャリアコンサルタントに相談するかを選ぶ
→同じ団体でも、部署によって役割も違います
・キャリアコンサルタントとの相性も重要
→お互い人間なので合う合わないがあります
→キャリアコンサルタントの人間性や信念を把握しましょう
②キャリアコンサルタントから解決策を求めないようにしましょう
・悩みの解決方法を一緒に考えていくというスタンスが大切
→状況や気持ちを整理していく過程がとても重要です
→大切な自分の人生について、最終的に意思決定するのは相談者自身です
→急がず、焦らず、自分に向き合っていきましょう
③1回のキャリアコンサルティングでは効果が薄いかもしれません
・継続してキャリアコンサルティングを受けたほうが効果的かも
→1回の相談では意思決定までたどり着けないこともあります
→難しい悩みだからこそ、悩んでいるのだと思います
・解決するためにはモチベーションの維持が必要
→時間の経過とともに、モチベーションが下がってしまうかもしれません
→解決のための意思決定や行動には、モチベーションが大切です
相談しても無駄と思わずに、
キャリアコンサルタントに相談して、
一緒に考えながら、
悩みを解決していけるといいですね。
私は国家資格キャリアコンサルタントの資格を所持していますが、
あえて「キャリアカウンセラー」と名乗っています。
なんだか、「コンサルタント」って指導的な響きがしませんか?
私は、相談者の悩みに寄り添った「カウンセラー」として、
相談者が安心して相談できる相談室、
相談者の人生を大切に扱う「キャリアカウンセラー」を目指しています。
私のホームページをご覧いただきありがとうございます。
いま、キャリア(人生)のことで悩んでいて、
どうしたらいいのか・・・
この先が不安で・・・
など、困っているようでしたら、
一度、カウンセリングをご利用してみませんか。