職業適性とは
就職活動をする際に、「自分に合った仕事って何だろう?」と悩む人は多いと思います。
すでに職業経験がある人は、これまでの経験から何となくわかっている感じなのかもしれません。
自分に合った仕事を見つけるための目安のひとつとして「職業適性」を検討するという方法があります。
経験や勘に頼るだけではなく、統計的・理論的に裏付けられた検査によって理解していく方法です。
職業適性には「能力」と「パーソナリティ」が含まれています。
能力とは、ある特定の仕事や役割を効果的に遂行するために必要な能力や特性のこと。
パーソナリティとは、個人の性格や気質、行動傾向など、より包括的な個性のこと。

自分に合った仕事を探すには、能力とパーソナリティの両方の視点から検討してくことが必要になります。
例えば、ある仕事をするための能力はあっても、興味が無ければモチベーションが維持できません。逆に、興味が強くても、仕事をするための能力が無ければ仕事として成立しないことになります。ですから、能力とパーソナリティの両方を検討することをお勧めします。
能力の中の適性能を調べるには「職業適性検査」、パーソナリティの中の興味を調べるには「職業興味検査」を実施することになりますが、何を調べるのかによって検査の種類が異なることをご理解したうえで受検されることをお勧めします。
就職活動で悩んでいる皆さんが知りたいと思っている職業適性は「能力」であることが多く、職業興味検査を実施しても測定することはできませんのでご理解ください。
ここからは、能力の中の適性能を測定する「厚生労働省編一般職業適性検査(GATB)」についてご紹介します。
厚生労働省編一般職業適性検査(GATB:General Aptitude Test Battery)
厚生労働省編一般職業適性検査(GATB)は、仕事を遂行するうえで必要とされる代表的な9種の能力(適性能)を測定することにより、能力面からみた個人の理解や個人の適性能力の探索など、望ましい職業選択を行うための情報を提供することを目的としています。
適性能 |
G−知的能力 V−言語能力 N−数理能力 Q−書記的知覚 S−空間判断力 P−形態知覚 K−運動共応 F−指先の器用さ M−手腕の器用さ |
11種の紙筆検査と4種の器具検査で構成されていて、検査の所要時間は70~80分程度です。
検査内容を詳しくはお話できないのですが、検査項目だけ下表でご紹介します。
紙筆検査 | 器具検査 |
検査1 円打点検査 検査2 記号記入検査 検査3 形態照合検査 検査4 名詞比較検査 検査5 図柄照合検査 検査6 平面図判断検査 検査7 計算検査 検査8 語意検査 検査9 立体図判断検査 検査10 文章完成検査 検査11 算数応用検査 | 検査1 さし込み検査 検査2 さし替え検査 検査3 組み合わせ検査 検査4 分解検査 |
紙筆検査は問題冊子と鉛筆を使って実施します。(所要時間50分程度です)
問題内容は難しくはありませんが、集中力を要するものです。

器具検査は専用の作業盤と用具を使って実施します。(所要時間20分程度です)
手腕と指先の器用さを調べる作業検査ですが、この作業検査を省略して簡易検査という形で実施することはあまりお勧めしません。
※作業盤が無いという理由で省略するケースが多いと思いますが・・・



検査終了後、結果の集計とまとめ作業になります。この集計・まとめ作業はかなり時間がかかってしまうので、次回の面談までにこちらで作成する流れになります。
適性能については、適性能プロフィールとして折れ線グラフで表示しますので、自分の適性能(能力)が数値的・視覚的にわかります。また、代表的な職業に自分の適性能(能力)を反映させた適性職業群一覧表を表示しますので、どの職業に適性があるのかがわかります。
この適性能プロフィールと適性職業群一覧表を眺めながら、ワークを実施して考察を深めていきます。その際に、職業興味検査の結果があるとさらに深く考察できるので、できれば、この職業適性検査(GATB)を実施する前に、職業興味検査(VRTまたはVPI)を実施しておくことをお勧めしています。
その理由としては、仕事に向いているかどうかは、その仕事への適性は能力だけで考えるよりも、その仕事への興味・関心も考慮して考えたほうが、より的確な検討になることは前述でもお話した通りです。
まとめ
職業適性検査について何となく雰囲気を感じていただけたでしょうか。
「自分に向いている仕事は何だろう?」と考える際に考えて欲しいことは、自分の「能力」と「パーソナリティ」です。自分には、どんな能力(スキル)があって、どんな興味があって、どんな価値観を持っているのかを統合的に検討することです。
その能力を測定する方法のひとつに職業適性検査があります。なお、ご自分でこれまでの職務経験を振り返り、棚卸できる人は、職業適性検査をしなくても方向性を確認できているでしょうから、職業選択で悩むことは少ないのかと思います。
どんな検査でも共通して言えることは、検査の結果だけを見て判断するのではなく、その結果を見ながら考察すること、検討することがとても大切なプロセスだということです。その考察・検討を通して、発見や気づきがあったり、決断するためのきっかけになることが多々あります。
検査の目的を理解したうえで実施し、検査結果を有効に活用していただけることを願っています。