職場の人間関係に悩んだとき、どうすればいい?|自分を守るために考えたいこと

「人の悩みの9割は対人関係」と言われることがあります。

私たちは、家族や友人、職場の上司や同僚など、さまざまな人との関係の中で生活しています。

人間関係がうまくいっているときは、それほど意識することがなくても、ひとたび関係がうまくいかなくなると、それだけで毎日の生活がつらくなってしまうことがあります。

特に仕事では、

・上司とうまくいかない
・同僚との関係がぎくしゃくしている
・何を言っても否定される
・周りに気を遣いすぎて疲れてしまう
・職場にいるだけで緊張する

など、職場の人間関係が大きなストレスになることがあります。

仕事そのものは嫌いではないのに、人間関係がうまくいかないことで、職場に行くことがつらくなってしまうこともあるでしょう。

では、そんなとき、どうすればいいのでしょうか。

・嫌なことは、相手にちゃんと言えばいい
・もっと気にしないようにすればいい
・自分が変わればいい

そんな簡単な話ではないと思います。

人間関係の悩みには、相手との関係だけではなく、自分の気持ちや考え方、これまでの経験、職場の環境など、さまざまなことが関係しているからです。

だからこそ、いきなり答えを出そうとせず、まずは今の自分の状態を整理するところから始めてみてもいいのではないでしょうか。

目次

人間関係がうまくいかないのは、相手が悪い?自分が悪い?

職場の人間関係で悩んでいると、

「どうしてあの人は、あんな言い方をするんだろう」
「なぜ自分ばかり、こんな思いをしなければならないんだろう」

と、相手に原因があるように感じることがあります。

それは、決しておかしなことではありません。

一方で、

「自分の接し方にも問題があるのかな」
「自分がもっと変われば、うまくいくのかな」

と、自分に原因を求めてしまう人もいます。


人間関係の問題は、必ずしも「相手が悪い」「自分が悪い」と、はっきり分けられるものではありません。

本当に相手に問題がある場合もあります。
自分にも見直せるところがある場合もあります。
また、どちらか一方だけではなく、お互いの考え方や行動が影響し合っていることもあります。

では、相手に問題がある場合は、どうすればいいのでしょうか。

・相手に伝える
・自分の気持ちを主張する
・相手との関係を見直す

そうした方法もあります。
でも、それができないからこそ、悩んでいるのではないでしょうか。

「何を言っても聞いてもらえない」
「言ったら、もっと関係が悪くなりそう」
「職場だから、簡単に距離を置くこともできない」
「自分が何か言ったら、周りに迷惑をかけてしまいそう」

そんな思いを抱えている人に、

「嫌なことは、ちゃんと相手に言えばいいよ」

と言うだけでは、問題は解決しません。

むしろ、

「言えない自分が弱いのかな」
「もっと強くならなければいけないのかな」

と、自分を責めてしまうこともあるでしょう。

だから、まず「どうすれば相手を変えられるか」「どうすれば自分が変わるか」を考える前に、

「自分は今、何がつらいのだろう」

と考えてみることが大切なのだと思います。

まずは、自分の気持ちを受け止める

人間関係の悩みを解決しようとすると、

「相手にきちんと伝えなければ」
「もっとはっきり言わなければ」
「自分が変わらなければ」

と、すぐに解決方法を考えてしまうことがあります。
もちろん、相手に自分の気持ちや考えを伝えることが必要な場合もあります。
ときには、直接伝えることでしか解決できない問題もあるでしょう。

でも、つらい気持ちを抱えているときに、いきなり問題を解決しようとすることが、かえって自分を苦しめてしまうこともあります。

「相手に言えない自分は弱い」
「もっとはっきり言わなければダメだ」
「こんなことで悩んでいる自分が悪い」

そんなふうに、自分を責めてしまうからです。

まずは、問題を解決することよりも、今の自分の気持ちを受け止めてあげることから始めてもいいのではないでしょうか。

「つらかったね」
「苦しかったね」
「よく頑張ってきたね」

と、自分自身に声をかけるような気持ちで、自分の状態を認めてあげる。
実は、これってとても大切なことなんです。
それだけでも、少し気持ちが落ち着くことがあります。

そして、一人で抱え込まず、誰かの力を借りることも大切です。

信頼できる人に話してみる
自分の気持ちを言葉にしてみる

誰かに話すことで、頭の中で絡まっていたことが少しずつ整理され、

「自分は何がつらかったのだろう」
「本当はどうしてほしかったのだろう」
「自分は何を大切にしたいのだろう」
「これから、どうしたら少し楽になれるだろう」

と、自分自身の気持ちに気づけることがあります。

そうして気持ちを整理していくと、初めは見えなかった選択肢が見えてくることもあります。

「相手に伝えてみよう」と思えるかもしれません。

「少し距離を置いてみよう」と思うかもしれません。

「今はまだ何もしなくていい」と思うかもしれません。

あるいは、

「相手を変えることは難しい。だったら、自分の考え方や受け止め方を少し変えてみよう」
と思えるかもしれません。

大切なのは、最初からどの方法が正しいのかを決めることではないのだと思います。

まずは、自分が今どんな気持ちを抱えているのかを知り、その気持ちを否定せずに受け止める。
そのうえで、自分にとってどんな方法がよいのかを考えていく。

人間関係の悩みは、そんなところから始めてもいいのではないでしょうか。

考え方を変えるための、認知行動療法的なアプローチ

自分の気持ちを整理する方法の一つとして、認知行動療法の考え方が参考になることがあります。
認知行動療法は、出来事と、そのときに浮かんだ考えや感情、行動などの関係に注目する心理療法です。

ここで紹介するのは、医療としての認知行動療法そのものではありません。

仕事や人間関係の悩みを整理するときにも参考になる、「考え方の一つ」として簡単に紹介します。

たとえば、職場で上司から、

「何度言えば分かるの?」

と言われたとします。

そのとき、

「自分は仕事ができないんだ」
「上司に嫌われている」
「また怒られるかもしれない」

と、頭の中にさまざまな考えが浮かぶことがあります。

そして、

「怖い」
「恥ずかしい」
「悔しい」
「腹が立つ」

などの感情が生まれ、
・上司を避けたり、
・必要以上に謝ったり、
・家に帰ってからも何度もその言葉を思い出したり
するかもしれません。

このように、

出来事 → そのときの受け止め方 → 感情や症状→行動

というつながりの中で、自分のつらさが大きくなっていくことがあります。

そこで、少し立ち止まって考えてみます。

「実際に上司から言われたことは何だったのだろう?」
「自分は、その言葉をどう受け止めたのだろう?」
「事実と、自分の想像が混ざっていないだろうか?」
「ほかの受け止め方はできないだろうか?」
「自分にできることは何だろう?」

と整理してみるのです。

これは、「嫌なことがあってもポジティブに考えましょう」という話ではありません。

上司の言い方が本当に問題だったのであれば、「自分の受け止め方が悪い」と考える必要はありません。

大切なのは、自分の考えが正しいか間違っているかを決めることではなく、自分を苦しめている考え方に気づき、ほかの見方や行動の選択肢を増やしてみることです。

たとえば、

「自分は仕事ができない」

と思っていたとしても、

「今回の仕事で失敗したこと」と「自分には仕事ができないこと」は、本当に同じでしょうか。


「上司は自分を嫌っている」

と思っていても、

「上司の言い方が厳しかった」ことと、「上司が自分を嫌っている」ことは同じでしょうか。


このように、一つ一つ整理していくと、最初は一つしかなかった見方が、少しずつ増えていくことがあります。

考え方を変えるというのは、無理に前向きになることではありません。

自分を苦しめている見方だけに縛られず、もう少し広く状況を見ること。

それも、「自分を変える」ということの一つなのだと思います。


ここでいう「自分を変える」は、
・相手に合わせて我慢することでも
・自分が悪かったと認めることでも
ありません。


相手を変えることが難しいときに、

「自分を少し楽にするために、自分の側で変えられることはないだろうか」

と考えてみることです。

それは、相手の言動をすべて受け入れることではなく、
自分を守るために、自分の受け止め方や行動を選び直すことも含まれます。

それでも、相手に伝えることが必要になるとき

ここまで整理してきても、やはり「相手に伝えなければ何も変わらない」という場合もあります。

たとえば、

「その言い方をされると、私はつらく感じます」
「この仕事量では期限までに終えることが難しいです」
「もう少し具体的に指示していただけると助かります」

など、自分の気持ちや考え、希望を伝えることが必要になるかもしれません。

そのときに参考になるのが、アサーションというコミュニケーションの考え方です。
アサーションは、相手の気持ちや考えも尊重しながら、自分の気持ちや考えも適切に伝える方法です。


また、「Iメッセージ」という、自分を主語にして気持ちや考えを伝える方法もあります。

たとえば、

「あなたはいつも言い方がきつい」

と言うのではなく、

「私は、その言い方をされると少し萎縮してしまいます」

と伝える。


あるいは、

「そんな仕事量では無理です」

ではなく、

「今の仕事量だと、期限までに終えられるか不安があります。優先順位を一緒に確認していただけますか」

と伝える。


もちろん、これだけで相手が変わるとは限りません。
相手にも考え方がありますし、職場の環境によっては、こちらが伝えても状況が変わらないこともあります。
だからこそ、アサーションは「相手を思い通りにする方法」ではありません。

自分の気持ちや考えを大切にしながら、相手とやり取りするための一つの方法です。

そして、ここでも無理をする必要はありません。

「今の自分には、まだ伝える余裕がない」

そう感じるのであれば、まず自分の状態を整えることを優先してもいいのです。

相手に伝えることは、人間関係の問題を解決するための一つの方法です。
でも、それが唯一の方法ではありません。

距離を置くことや、周囲に相談すること、上司や人事など別の人に相談すること、場合によっては職場そのものを変えることも選択肢になります。

問題を解決するだけでなく、自分の心身を守る

人間関係の悩みを抱えていると、

「こんなことをしても問題は解決しない」
「気晴らしをしている場合ではない」

と思ってしまうことがあります。

たしかに、仕事上の問題や人間関係そのものが、気晴らしをしただけで解決するとは限りません。
でも、だからといって、気晴らしに意味がないわけではありません。

悩みを抱えたまま、毎日ずっと考え続けていたら、心も身体も疲れてしまいます。

疲れがたまれば、普段なら気にならないことまで気になったり、
相手の言葉を必要以上に悪く受け止めてしまったり、
冷静に考えることが難しくなったりすることもあります。

だからこそ、

  • 好きなことをする
  • 音楽を聴く
  • 散歩をする
  • 誰かと話す
  • ゆっくりお風呂に入る
  • 十分に眠る
  • 仕事のことを考えない時間をつくる

など、自分なりの方法で心身を休ませることにも意味があると思います。

「そんなことをしても、職場の問題は何も変わらない」

と思うかもしれません。

でも、もし心身の疲れが積み重なって、
眠れなくなったり
食事がとれなくなったり
仕事に行くことさえ難しくなったり
したら、問題について考えることそのものが難しくなってしまいます。

だからこそ、

問題を解決することと、自分の心身を守ることは、別々のものではありません。

自分を守ることも、問題と向き合っていくための大切な一部なのです。


そして、呼吸を整えることも、その一つです。

強い緊張や不安を感じているときは、呼吸が浅くなっていることがあります。
そんなときは、まず息をゆっくり吐くことを意識してみます。

お腹に手を当てて、ゆっくり息を吸い、お腹がふくらむのを感じる。
そして、吸うことよりも、ゆっくり吐くことを意識する。
何度か繰り返していると、少しずつ身体の力が抜けてくることがあります。

腹式呼吸は、特別な道具を必要とせず、自分でできるセルフケアの一つです。

もちろん、呼吸を整えたからといって、職場の人間関係そのものが解決するわけではありません。
でも、つらいときに少し落ち着きを取り戻し、自分自身を立て直すきっかけになることがあります。


「ストレスを発散しているだけでは、何も解決していない」

と思ってしまう人もいるでしょう。
でも、心や身体の状態を保つことは、問題から逃げることではありません。
むしろ、自分の心身を守りながら問題と向き合っていくために必要なことなのだと思います。

「今日は少し休もう」
「仕事のことを考えない時間をつくろう」
「誰かに話を聞いてもらおう」
「まずは呼吸を整えてみよう」

そんな選択も、人間関係の悩みと向き合っていくための大切な一歩です。

そして、場合によっては、気晴らしをしたり、少し休んだりしているうちに、いつの間にか気持ちが切り替わり、問題を乗り越えられることもあるかもしれません。

問題を直接解決することだけが、「前に進む」ということではないのです。

職場の人間関係から、これからの働き方を考える

ここまで考えてきても、

「結局、私はどうすればいいんだろう」

と思うかもしれません。

人間関係の悩みは、一つの方法ですべて解決できるとは限りません。

だからこそ、すぐに答えを出そうとせず、少しずつ整理してみることが大切なのだと思います。

たとえば、

「仕事そのものは好きなのか」
「人間関係だけがつらいのか」
「この職場だからつらいのか」
「別の環境なら、今の仕事を続けたいのか」
「相手との関係を変える余地はあるのか」
「今の自分には、もう少し休む時間が必要なのか」

と考えてみる。

そうしていくと、

「人間関係がつらい」

と思っていた悩みの中に、実はいくつもの問題が含まれていたことに気づくことがあります。

そして、その中には、

「これから、どんなふうに働いていきたいのか」

という、キャリアに関わる問題が含まれているかもしれません。

「転職したほうがいいのかな」
「でも、今の仕事自体は好きなんだよな」
「辞めたら後悔するかもしれない」
「もう少し続けてみたほうがいいのかな」

そんなふうに迷うのは、決しておかしなことではありません。
すぐに「辞める」「続ける」と決めなくてもいいのです。

今の職場でできることがあるのか。
人間関係との付き合い方を変えてみることができるのか。
少し休むことが必要なのか。
それとも、環境を変えることを考えたほうがいいのか。

一つずつ考えていくことで、自分にとってどうすることがよいのかを考えやすくなることがあります。

人間関係の悩みは、単に「相手とうまく付き合うにはどうすればいいか」という問題だけではないかもしれません。

まとめ

職場の人間関係に悩んだとき、

「相手が悪いのか、自分が悪いのか」

と考え続けても、なかなか答えが出ないことがあります。

相手に問題がある場合もあります。
自分に見直せるところがある場合もあります。
その両方が関係していることもあります。

だからこそ、最初から「どう解決するか」だけを考えるのではなく、

まず、自分の気持ちを受け止める。

そして、

一人で抱え込まず、誰かに話してみる。

そのうえで、

出来事と自分の受け止め方を整理してみる。

必要であれば、

自分の考え方や受け止め方を少し変えてみる。

そして、状況によっては、

アサーションやIメッセージなどを使って、相手に伝えてみる。

その間も、

休む、気晴らしをする、呼吸を整えるなど、自分の心身を守る。

そんなふうに、一つずつ考えていけばいいのではないでしょうか。

「自分を変える」ということも、
「自分が悪いから変わらなければならない」という意味ではありません。

相手を変えることが難しいときに、

「自分を少し楽にするために、自分の側で変えられることはないだろうか」

と考えてみることです。

そして、相手に伝えることも、

「言いたいことを言って、相手を納得させる」

ということではありません。

「自分も相手も尊重しながら、自分の気持ちや考えを伝えてみる」

それでも難しいことはあります。
だからこそ、最初から一つの方法に決めつけなくてもいいのだと思います。

大切なのは、「正しい答え」を探すことよりも、

「今の自分にとって、少しでも良い方向に向かうためには何ができるのか」

を考えることです。

おわりに

職場の人間関係に悩んでいるときは、目の前の相手の言葉や態度ばかりが気になってしまい、自分がどれほど疲れているのかに気づけなくなることがあります。

「自分がもっと頑張ればいい」
「気にしなければいい」
「ちゃんと言えばいい」

そう考えて、さらに自分を追い込んでしまうこともあるでしょう。

でも、まずは、

「つらかったね」
「よく頑張ってきたね」

と、自分自身の気持ちを認めてあげてもいいのではないでしょうか。

そこから少しずつ、自分の気持ちや状況を整理していく。
一人で難しければ、誰かの力を借りる。

そうして考えていくうちに、「自分はこれからどうしたいのか」が少しずつ見えてくることがあります。

それは、今の職場で続けていくことかもしれません。
相手との関係を少し変えてみることかもしれません。
職場を変えることかもしれません。
あるいは、今は何も決めず、自分の心身を休ませることかもしれません。

キャリアカウンセリングは、すぐに答えを出すためだけのものではありません。

「辞めるのか、続けるのか」
「伝えるのか、伝えないのか」
「この職場に残るのか、離れるのか」

まだ決められない段階でも大丈夫です。

今の状況や気持ちを一緒に整理しながら、少しずつ「自分はどうしたいのか」を考えていく。
そんな時間も、キャリアカウンセリングの一つだと私は考えています。

キャリアカウンセリング Office SORAでは、「転職を前提としないキャリア相談」を大切にしています。
職場の人間関係や仕事のことで悩んでいるけれど、何をどう考えればいいのかわからない。

そんなときは、まず今抱えていることを言葉にしてみるところから始めてもいいのではないでしょうか。

すぐに答えを出す必要はありません。
自分を守りながら、自分にとっての良い方向を一緒に考えていきましょう。

記事を最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ひとりで考えを整理するのが難しい時や、「これからの働き方について少し話してみたい」と感じた時は、いつでもお気軽にご相談ください。

キャリアカウンセリング Office SORA では、転職に限らず、職場での悩みや気持ちの整理など、あなたのペースに合わせて丁寧にお聞きします。

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